分散型台帳技術(DLT)とは【解体新書】

Technology

分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology)とは

導入

近年注目を集める分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology)(以下、「DLT」)をご存知でしょうか。

最近暗号通貨に興味を持った方からネットワーク技術を学ばれている方まで、是非とも知っておいていただきたい技術です。

これからの新しい技術改革を支える根幹技術であるDLTを紹介していきますので是非ご覧ください。

Point

    • DLTはネットワーク上でデータベースを分散管理、共有することができる技術
    • Bitcoinに用いられるブロックチェーンを活用しながら、より汎用性を高めた技術
    • 情報のやり取りにおいて高い障害耐性、機密性、可用性を保有する技術
    • ブロックチェーン技による高い改ざん耐性を持つ

概要

DLTはクライアント・サーバシステムとは対照的にすべての情報を持つ中央サーバが存在しません。

その代わりに各ネットワーク参加ノードが台帳のコピーを持っています。

ここで言う「台帳」とは取引履歴が保存されているデータベースであり、情報の信頼性を担保するものです。

ノードが取引を行うごとにすべてのノードが台帳を更新していくことで、中央集権的な管理システムを必要としない情報通信のあり方を確立しています。

定義

DLTに世界共通の定義はありません。ですが一般的に用いられているDLTは以下のような意味で用いられています。

DLTとは…

従来のクライアント・サーバシステムと比較して中央管理者やそのサーバを持たないネットワーク上で、同じ台帳(データベース)を各ノード(コンピュータ)が持ちながら管理・共有することのできる技術

歴史

DLTに関する研究は1980年頃から盛んに行われており、特にコンセンサスアルゴリズムにおけるビザンチン将軍問題に対する適切なアルゴリズムの研究が進んでいました。

DLTが暗号通貨の市場で実用化されるようになったのは2008年11月にSatoshi Nakamotoが公表した論文「Bitcoin :A Peer-to-Peer Electronic Cash System」が始まりです。その後様々なコンセンサスアルゴリズムを適用した暗号通貨が開発・運用されるようになりました。

2016年には日本取引所が金融市場インフラに対してDLTを適用する実証実験が行われました。その後も今に至るまで様々な分野でDLTの実験が進められています。

特徴

DLTの要素

DLTは以下の技術によって支えられています。

  • データベース技術
  • 暗号的ハッシュ関数
  • 公開鍵暗号技術
  • P2P通信技術
  • コンセンサスアルゴリズム

DLTの種類

DLTにはいくつかの種類があります。その中でもネットワーク参加者の数や性質によって大きく3つに分類されます。

  1. プライベート型DLT
  2. コンソーシアム型DLT
  3. パブリック型DLT

まずプライベート型DLTは単一組織や部内で組織されたDLTです。プライベート型DLTはすべてのノードが信頼性を持つものでることが特徴です。次にコンソーシアム型DLTです。コンソーシアム(Consortium: 互いに力を合わせて目的を達成しようとする組織)の名の通り、いくつかの組織が共同して運用するネットワークです。例えば証券取引所や各種銀行などで運営されるものはここに分類されます。プライベート型・コンソーシアム型は参加ノードが特定されていることが最大の特徴です。そして最後にパブリック型DLTは参加ノードを限定しないもので、悪意のあるノードが参加することも想定されています。BTCやETHなどの暗号通貨において用いられているものがこのパブリック型DLTです。

DLTはコンセンサスアルゴリズムや参加ノードなどを設定する必要があります。そのためには目的にそったDLTの種類を選択する必要があります。

利点欠点

利点

  • 障害耐性
  • 耐改ざん性
  • 高い透明性
  • 業務の効率化(スマートコントラクト)
  • トレースバック性能
  • データの断面取得が容易

欠点

  • ファイナリティが保証されづらい
  • リアルタイム性に乏しい
  • ネットワークの帯域を圧迫する

活用事例

日本取引所グループによる金融市場インフラの実証実験などをはじめとした金融市場への活用が進められている。他にもDLTを活用したサービスとして、サプライチェーンにブロックチェーンのデータ構造を適用したものがある。主流なものはIBMによって提供されています。今後トレーサビリティ向上や、スマートコントラクトによる業務効率化のためにDLTを活用することが期待されています。

まとめ

いかがだったでしょうか。DLTに関して正しい知識を提供することができていたら幸いです。

今後、新しいネットワークとしてDLTが敷設され、身の回りの生活が便利になることを期待したいです。

最後にDLTのPointを見ていきましょう。

Point

  • DLTはネットワーク上でデータベースを分散管理、共有することができる技術
  • Bitcoinに用いられるブロックチェーンを活用しながら、より汎用性を高めた技術
  • 情報のやり取りにおいて高い障害耐性、機密性、可用性を保有する技術
  • ブロックチェーン技による高い改ざん耐性を持つ

参考

JPX金融市場インフラに対する分散型台帳技術の適用可能性について

https://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/working-paper/tvdivq0000008q5y-att/JPX_working_paper_No15.pdf

中央銀行から見たブロックチェーン技術の可能性とリスク

https://www.boj.or.jp/paym/fintech/rel161128a.pdf

ブロックチェーン技術の最新動向:4 分散型台帳におけるコンセンサス・アルゴリズム

情報学広場:情報処理学会電子図書館

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コメント

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